奈良県の行方不明高1女子が無事に保護された事件を考察。家出人か行方不明か、境界線は?

経済ニュース
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9日から行方不明となっていた奈良県内の高校に通う1年の女子生徒(16)が、東大阪市の住宅で保護された。けがはなく無事という。

今回の事件から、行方不明と家出人捜査の違い、そして、行方不明者の統計から現代社会の問題について、考察したい。

警察庁統計資料からわかること

平 成 3 0 年 に お け る 行 方 不 明 者 の届出受理数は、過去10年間では、ほぼ横ばいで推移。30年は87,962人で前年に比べて3,112人増加している。

男女別では、男性が56,379人(構成比64.1%)、女性が31,583人(構成比35.9%)と男性の割合が高く、男性、女性共に過去5年間では、ほぼ横ばい になっている。

年齢層別では、20歳代が最も多く、過去5年間では増加傾向にある。70歳以上も認知症患者が増え、増加傾向にある。

人口10万人あたりの数では10代が 145.3 人。20代が 147.6 人と多い。

原因・動機別では、認知症を含む疾病関係が年々増加し、30年は23,347人(構成比26.5%)と最も多く 家庭問題との差を広げ続ける。

問題は行方不明者たちの所在が確認できているのかどうか。

30年中に所在が確認等された行方不明者(確認をした年次以前に受理した届出分を含む。)は84,753人 。行方不明者数が 87,962人 だったことから、発見されていない行方不明者数は3,209人となる。

警察が実際に捜索に乗り出すのは、「特異行方不明者」。つまり、小学生などの子供や、認知症を患っている高齢者など、「どこか別の場所で一人で生活していくことが困難」だと判断される人のこと。

それ以外の「一般家出人」と判断された人は、捜索されることがあまりないのが実情。

今回のケースは行方不明になった女子高生が誘拐などに巻き込まれた事件性が強いと判断されたり、命に危険が迫ると判断された場合に該当したと思われます。

ちなみに、 警察が行方不明者を見つけた場合、「捜索願」が出ていることを本人に伝えるだけです。

警察には本人を自宅に連れて帰る権限はありません。自分の意志で行方不明になっているという可能性もあるためです。

今後の行方不明者捜査に影響。通報者が誘拐に疑われる可能性も。そして、3千人を超える不明者はどこへ?

今回、家出だったのではないか、と世間では「お騒がせ」に該当する事案。ただし、今後、このような大事にならないために、事件性のある行方不明であっても、警察が「家出人」扱いする可能性も高くなった。

当初、警察が公開捜査を行ったことで、栃木県で家出した少女が見つかった事件を連想した人も多いと思われる。今回のケースは、安堵感が広がったものの、通報者が疑われる事態になっていることは、これから行方不明者を見つけたときの対処法が問われることにもなる。

あなたが、行方不明者を偶然に見つけたとき、誘拐犯と疑われる覚悟が必要だ。

そして最も大きな問題は、3000人を超える行方不明者がいるリアルだ。

奈良のこの女子高生のケースをきっかけに、見つかっていない3000人の行方不明者がいる実態に世間が注目してほしい。

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