三井住友フィナンシャルグループは三井住友銀など本部人員を削減
5月17日、日本経済新聞の報道です。
記事によると「三井住友フィナンシャルグループ(FG)は本部人員を2022年度までに3割減らす計画だ。業務の見直しや削減を進め、成長領域に人員を振り向ける。低金利環境の長期化で銀行は従来のビジネスモデルからの転換を迫られており、成長に向けた大幅な見直しに着手する。
企画や管理といったグループの本部に所属する職員が対象。「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれる自動化システムなどの導入を進めて効率化を図り、資産運用や海外といった成長領域に人材を集中させる。
三井住友FGの有価証券報告書の「連結会社における従業員数」では、「本社管理」の人数は19年3月末時点で1万4937人。
法人部門の配置転換や店舗改革などと合わせて約8000人分の業務を減らし、22年度までに1000億円のコスト削減につなげる。新規採用の抑制などで、グループ全体の社員数は直近の10万人程度から約6000人減る。
他の金融機関も本部人員の見直しに力を入れる。三菱UFJ銀行は約6000人の本部社員を23年度までに半減させる方針。三井住友信託銀行も企画や管理部門の人員を営業担当などに配置換えし、19年度に本部職員を約1割減らしている。」と。
銀行のリストラ策が本格化
「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIによって次ぐ次に仕事が奪われていくのですね。
もはや支店も「行員のコロナ感染リスクを回避するために閉鎖して縮小する」という大義名分も出来ました。
三菱UFJ銀行は約6000人の本部社員を23年度までに半減させる、つまり3000人は必要なくなるのです。
「三井住友信託銀行も企画や管理部門の人員を営業担当などに配置換えし、19年度に本部職員を約1割減」とあり、
すでに本部の一割が営業部門に転籍されたと。これは経験者にはわかりますが、ある意味「肩たたき」です。
本部で長年にわたり総務や後方事務管理をしてきた人は、もともと「営業が苦手だけど本部部門では能力を発揮できる」人だからです。明日から支店で投資信託売ってこい!と言われているのです。しばらくたつと自主退社していきます。
こうして記事に現れない、“自然減”なリストラ策が本格的に展開されるのです。
よく考えてみれば、かつては銀行のリストラは関連会社への転籍や融資先で無理の言えるところに行員を派遣して来ました。しかし、コロナ不況で、どこも人員を絞っている最中に、銀行員を受け入れてくれる先はありません。
三井住友FG、初の純利益首位に 三菱UFJを逆転
今回の決算でわかることは、MUFGは売上の規模に比して経費を使い過ぎなのです。裏を返すと三井住友FGは低コストで業務運営を行っているということになります。それが初の逆転につながっている要因です。
この結果から今後、銀行業界は更なるコスト削減にまい進することになります(低金利、規制対応、フィンテック対応、キャッスレス化等によって収益力は更に低下するものと想定)。
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