2月21日に発覚した北海道銀行の不祥事です。
同日に北國銀行が、今回と同じく20代男性行員の3億円を超える着服事件を公表し、衝撃を与えました。北海道銀行は、まったく同じ日に着服事件を公表したのですが、ほとんど全国ニュースに取り上げられませんでした。金額の差はありますが、信用をモットーとする金融機関で起きた不祥事です。概要から説明します。
20代男性行員が9万5000円を着服。事件の概要は
NHK北海道のニュースによると(引用元・NHKウエブ ニュース)
「 北海道銀行の20代の男性行員が、顧客から預かった普通預金の現金9万5000円を着服していたことが分かり、銀行はこの行員を今月12日づけで懲戒解雇の処分にしたと発表しました。
懲戒解雇されたのは、北海道銀行の小樽支店で個人の顧客への営業を担当していた20代の男性行員です。
北海道銀行によりますと、この行員は去年12月に小樽市に住む顧客の自宅を訪れた際に、普通預金への入金を依頼されて預かった現金9万5000円を着服していたということです。
あとになって夫婦が通帳に預け入れの記録がないことに気づき、銀行に問い合わせ、着服が分かったということです。
銀行の調査に対して行員は着服を認めたうえで、「借金の返済や生活費にあてるつもりだった」などと話し、全額を返済したということです。
銀行は、この行員を今月12日づけで懲戒解雇の処分にしました。
北海道銀行は「信用を第一とする金融機関でこのような事件が起き、心よりおわびします。法令順守のさらなる徹底や管理体制の一層の強化を図り、信頼回復と再発防止に向けて取り組んでいきます」とコメントしています。」
北海道銀行のお詫び文章はこちらです。
昨年末、 12月30日(月) に発覚した不祥事件。実際の犯行は12月13日に訪問先の顧客から入金を依頼された現金9万5千円を着服したもの。不祥事の把握から公表まで、約2か月かかっています。
たかが9万5千円、されど着服。
かつては、銀行法施行規則という法律で、「100万円以上の紛失 (盗難に遭うこと及び過不足を生じさせることを含む )を届け出ること」と記されていましたが、 平成29年4月 から、形式的な金額基準を廃止し、10万円以下の着服も届け出る方式へ改めています。
昔なら9万円程度の着服発生はマスコミに公表しなかったのではなっかたかと思うのですが。
北國銀行では、同じ20代男性行員が3億6千万円を着服したのですから、北海道銀行の行員の犯行が小さく見えてしまう。同じ着服でも4桁も違う・・・
しかし、問題は2つあります。
一つ目が、9万5千円の現金を預かっている仕事の仕組み。そのくらいの金額なら、たいていの人は自らATMに預けに行くでしょう。富裕層顧客の預けるような金額でもないし、どうしてこの行員は断らなかったのか?このような現金を預かって入金する業務を渉外係が担当していたという事が問題です。
着服の温床になるのですから、「銀行規則として預かれません」と言える仕事にしておくべきだったのでは?定期積金という商品は集金を行うケースがまだ残っていますが、北海道銀行で定期積金の集金をしていたとは考えられない。非効率な業務を地銀がやっているとはおもえないのです。基本的に顧客からは厳禁を一切預からない、という規則も必要でしょう。
不祥事が続く北海道銀行。昨年6月にも着服。
さらに、問題は、今回の不祥事事件が一年も経過しないうちに連続して起きていること。
北海道銀は昨年6月にも20代の女性行員が100万円を着服する不祥事が発生しています。
その時の2019年6月21日の発表資料には、このように今後の対応が記載されています。
「 弊行では、かかる不祥事件を発生させた事実を厳粛に受け止め、法令等遵守の更なる徹底等、内部管理態勢の一層の充実・強化を図り、信頼回復と不祥事件の再発防止に向けて全行を挙げて取り組んでまいります。」
今月2月21日に公表したリリースには
「 当行では、今回の事態を重く受け止め、法令等遵守の更なる徹底等、内部管理態勢の一層の充実・強化を図り、信頼回復と不祥事件の再発防止に向けて全行を挙げて取り組んでまいります。 」
1年もたたないうちに、同じ文言の発表文を公表しなければならなかったとは、再発防止が機能不全です。
なぜ、20代の若手行員が犯行に次々に着服事件を起こすのか?
一年も経過しないうちに、20代の若手行員が着服する環境にあるのは、なぜでしょうか?
北国銀行の3億6千万円着服も20代の若手行員の犯行です。
いま、金融機関の現場で、若手行員の中でなにが起きているのでしょう?
これほど、着服が相次いでいるのをこれまで取材したことがありません。
銀行の地位、地元でのプライド、安定した収入、かつての銀行をイメージできたものが、どんどん崩れているよう。それと同時に、お金という大事なものを預かるという基本的意識の欠如という行員の変化を感じさせるものが着服・不祥事の増加の陰にあります。
本日もブログを読んでいただき、ありがとうございました。
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